小澤征爾音楽監督からのご挨拶

 今回の小澤征爾音楽塾は2016年に大好評だった「こうもり」を再び取り上げます。塾生がオペラを勉強するにはもってこいの演目で、前回と同じくNYメトロポリタン歌劇場のプロダクションを使用します。アイゼンシュタインはじめ主要キャストが戻ってきてくれて、デイヴィッド・ニースの演出で、あの楽しく豪華な舞台が帰ってきます。今年も国内外(日本、中国、台湾、韓国)の厳しいオーディションで選ばれた若い音楽家たちで、小澤征爾音楽塾オーケストラを結成します。
 2000年にローム株式会社の佐藤研一郎社長(当時・現名誉会長)のご支援で「小澤征爾音楽塾」を立ち上げて以来、オペラの制作と公演を通じて、私が最も信頼を寄せるサイトウ・キネン・オーケストラメンバーでもある先生方とともに、若い音楽家たちへの教育を続けてきました。今回で20年という節目の年にあたります。彼らが先生方の指導のもと、世界の第一線で活躍する歌手や演出家と一緒に一つのオペラ作品を創り上げていくことは、音楽家としての一生を左右するような経験になります。そして、子どもたちにオペラにふれてもらうために、今年も京都府内の50校以上の小学生たちを招待して、生のオペラを楽しんでもらいたいと思っています。
 教育プロジェクトであると同時に、世界一流の歌手・プロダクションを同時に体感することが出来る、世界的にも他に類を見ないこのプロジェクト、是非いらしてみてください。そこで創られるオペラは、音楽の喜びとエネルギーに満ちあふれています。

小澤征爾音楽塾塾長 音楽監督 小澤征爾

  • 小澤征爾プロフィール

    photo: Seiiji Ozawa

     1935年、中国のシャンヤン(旧奉天)生まれ。幼いころからピアノを学び、成城学園中学校を経て、桐朋学園で齋藤秀雄に指揮を学んだ。
     1959年、ブザンソン指揮者コンクールで第1位を獲得。当時ボストン響の音楽監督であり、このコンクールの審査員であったシャルル・ミュンシュに翌夏タングルウッドに招かれた。その後、カラヤン、バーンスタインに師事、ニューヨーク・フィル副指揮者、シカゴ響ラヴィニア・フェスティバル音楽監督、トロント響音楽監督、サンフランシスコ響音楽監督を経て1973年にボストン交響楽団の第13代音楽監督に就任、アメリカのオーケストラ史上でも異例の29年という長期にわたって務めた。
     ボストン交響楽団の音楽監督としてオーケストラの評価を国際的にも高め、1976年のヨーロッパ公演および1978年3月の日本公演で多大の成果を挙げる。1981年3月には、楽団創立100周年を記念して、アメリカ14都市演奏旅行を果たし、同年秋には、日本、フランス、ドイツ、オーストリア、イギリスを回る世界公演を実施。その後も1984年、88年、91年にヨーロッパ公演と1986年、1989年には日本公演を行い、いずれも絶賛を博す。1978年には、中国政府の公式招待により、中国中央楽団と1週間にわたって活動したのをはじめ、1年後の1979年3月にはアメリカのオーケストラとしては初めてボストン響を率いて再度訪中し、意義深い音楽・文化交流を果たした。それ以来、中国とは深い関係を築いている。他にも、1973年6月にはサンフランシスコ響を率いて、モスクワ(ソビエト連邦・当時)を訪れ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチと共演している。
     2002年秋には、東洋人初のウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任、2010年春まで務めた。
    ヨーロッパでの評価と人気は絶大なものがあり、これまでにベルリン・フィル、ウィーン・フィルをはじめとする多くのオーケストラ、ウィーン国立歌劇場、パリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、フィレンツェ歌劇場、メトロポリタン・オペラなど主要オペラハウスに出演している。
     日本においては、恩師齋藤秀雄を偲んでサイトウ・キネン・オーケストラを発案、秋山和慶らの仲間に声を掛け組織し、1984年東京・大阪公演で大成功を収め、1987年、1989年、1990年にはヨーロッパ公演を、1991年にはヨーロッパ、アメリカ公演を行い絶賛を博した。1992年からは、芸術的念願であった国際的音楽祭"サイトウ・キネン・フェスティバル松本"へと発展させ、総監督に就任(~継続中)。その後もサイトウ・キネン・オーケストラは、1994年、1997年、2004年に海外ツアーを実施。フェスティバルは、2015年より、“セイジ・オザワ 松本フェスティバル”として新たなステージに踏み出した。
     また、1997年にサイトウ・キネンの室内楽勉強会から始まった室内楽アカデミー奥志賀を、アジア圏の優秀な学生に門戸をひろげる小澤国際室内楽アカデミー奥志賀として2011年にNPO法人化。一方で、実践を通して若い音楽家を育成するための “小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト”(2000年~)、および “小澤征爾音楽塾オーケストラ・プロジェクト”(2009年~)を公益財団法人ローム ミュージック ファンデーションの支援を受けて精力的に展開。2005年にはヨーロッパにおける音楽学生を対象にしたSeiji Ozawa International Academy Switzerlandをスイスに設立し、教育活動に力を注いでいる。その他、水戸室内管弦楽団とは1990年の創立時より親密な関係にあり、2013年からは同楽団の総監督を務めると共に水戸芸術館館長も務めている。さらに、新日本フィルハーモニー交響楽団とも創立時より定期的に活動を続けている。
     これまでに国内外で受賞した賞には、朝日賞(1985)、米国ハーバード大学名誉博士号(2000)、オーストリア勲一等十字勲章(2002)、毎日芸術賞(2003)、サントリー音楽賞(2003)、フランス・ソルボンヌ大学名誉博士号(2004)、ウィーン国立歌劇場名誉会員(2007)、フランス・レジオン・ドヌール勲章オフィシエ(2008)、フランス芸術アカデミー外国人会員(2008)、日本国文化勲章(2008)、イタリア・プレミオ・ガリレオ2000財団金百合賞(2008)、ウィーン・フィルより日本人として初めて「名誉団員」の称号(2010)、高松宮殿下記念世界文化賞(2011)、渡邉暁雄音楽基金特別賞(2011)、ケネディ・センター名誉賞(2015)などがある。2016年、サイトウ・キネン・フェスティバル松本2013で録音された小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラによるラヴェル:歌劇「子どもと魔法」のアルバムが、第58回グラミー賞最優秀オペラ録音賞を受賞。同年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団名誉団員、東京都名誉都民の称号を贈られる。

  • 小澤征爾塾長インタビュー
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  • 予告ムービー
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公演情報

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVIII
J.シュトラウスII世:喜歌劇「こうもり」

  • poster
  • [全3幕]〈原語(ドイツ語)上演/字幕付〉


    公演スケジュール
    2020年3月20日(金・祝) ロームシアター京都 メインホール
    2020年3月22日(日)ロームシアター京都 メインホール
    2020年3月25日(水)東京文化会館 大ホール
    2020年3月29日(日)愛知県芸術劇場 大ホール


    出演
    ロザリンデ:ウェンディ・ブリン・ハーマー
    ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン:アドリアン・エレート
    アデーレ:アナ・クリスティー
    アルフレート:ジョン・テシエ
    オルロフスキー公:エミリー・フォンズ
    ファルケ博士:ラッセル・ブラウン
    フランク:デール・トラヴィス
    ブリント博士:ジャン=ポール・フーシェクール
    イーダ:栗林 瑛利子
    フロッシュ:マツコデラックス


    音楽監督:小澤 征爾
    指揮:クリスティアン・アルミンク / 小澤 征爾
    演出:デイヴィッド・ニース
    装置:ギュンター・シュナイダー=シームセン
    衣裳:ピーター・J・ホール
    照明:高沢 立生
    振付:マーカス・バグラー

    管弦楽:小澤征爾音楽塾オーケストラ
    合唱:小澤征爾音楽塾合唱団
    (合唱指揮:根本 卓也)


    主催:小澤征爾音楽塾/ヴェローザ・ジャパン
    京都市/ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)(京都公演)
    東海テレビ放送(名古屋公演)
    共催:公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション
    協賛:ローム株式会社
    企画・制作:ヴェローザ・ジャパン
    後援:ニッポン放送(東京公演)
    協力:ANA


    オリジナル・プロダクション:オットー・シェンク
    オリジナル・照明デザイン:ギル・ウェシュラー
    プロダクション初演:1986年12月4日 メトロポリタン歌劇場
    装置、小道具、衣裳 製作:メトロポリタン歌劇場 工房


  • 指揮・演出

    • photo: 小澤 征爾
      音楽監督/指揮
      小澤 征爾
    • photo: クリスティアン<br>・アルミンク
      指揮
      クリスティアン
      ・アルミンク
    • photo: デイヴィッド・ニース
      演出
      デイヴィッド・ニース
  • 出演

    • photo: ウェンディ・ブリン<br>・ハーマー
      ロザリンデ
      ウェンディ・ブリン
      ・ハーマー
    • photo: アドリアン・エレート
      ガブリエル・フォン
      ・アイゼンシュタイン
      アドリアン・エレート
    • photo: アナ・クリスティー
      アデーレ
      アナ・クリスティー
    • photo: ジョン・テシエ
      アルフレート
      ジョン・テシエ
    • photo: エミリー・フォンズ
      オルロフスキー公
      エミリー・フォンズ
    • photo: ラッセル・ブラウン
      ファルケ博士
      ラッセル・ブラウン
    • photo: デール・トラヴィス
      フランク
      デール・トラヴィス
    • photo: ジャン=ポール<br>・フーシェクール
      ブリント博士
      ジャン=ポール
      ・フーシェクール
    • photo: 栗林 瑛利子
      イーダ
      栗林 瑛利子
    • photo: マツコデラックス
      フロッシュ
      マツコデラックス

あらすじ

 時は1874年の大晦日。アイゼンシュタインは些細な罪で刑務所に入らなければならなくなりました。入所する前日、アイゼンシュタインの元を友人のファルケ博士が訪ねてきます。「ロシアの大貴族オルロフスキー公爵が開く楽しいパーティがあるから、入所前にこっそり行こう」と誘い出すファルケ博士。妻ロザリンデには「刑務所に出頭する」と深刻そうに言いながら、でも実はウキウキとパーティに向かったアイゼンシュタイン。彼が出かけた後、家に残された妻ロザリンデのところに、彼女の元恋人アルフレートがやって来ます。まるで本当の夫のように振る舞うアルフレート。するとそこに、アイゼンシュタインを連行しに刑務所長がやって来ます。今更「本当は夫ではない…」とも言えず、なんとアルフレートは刑務所に連行されてしまいます。 パーティ会場でアイゼンシュタインの心を射止めたのは、仮面を付けた美しいハンガリーの貴婦人。しかし、この貴婦人の正体は何を隠そう、妻ロザリンデ。実の妻であることに気づかず、アイゼンシュタインは必死に口説きます。 実はこのカラクリのすべては、ファルケ博士がアイゼンシュタインに仕組んだ壮大な“仕返し”でした。“仕返し”の真相は? そしてその結末は…?! 粋な大人たちが巻き起こす騒動をお楽しみに!

チケット情報

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVIII
J.シュトラウスII世:喜歌劇「こうもり」

  • [全3幕]〈原語(ドイツ語)上演/字幕付き〉

  • チケット発売:2019年12月14日(土)
    チケット料金(全席指定/消費税込):
    S席 ¥25,000/A席 ¥21,000/B席 ¥17,000/C席 ¥13,000/D席 ¥8,000
    U25席¥3,000(座席指定不可・販売窓口限定)*25歳以下の方、当日ご来場時に年齢確認あり。お一人様一枚限り。

  • チケットご購入時の注意

    ・小澤征爾は音楽監督としてリハーサル及び指導に携わり、公演では一部を指揮する予定ではおりますが、当日の体調次第では指揮できない場合もございますことをあらかじめご了承ください。
    ・出演者等、記載の内容は2019年11月15日現在の予定です。
    ・病気、怪我等の事情で出演者が変更になる場合がございます。公演中止の場合を除き、チケットのキャンセル・払戻しはお受けいたしかねますので、あらかじめご了承下さい。
    ・乳幼児等就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
    ・0570で始まる電話番号は、一部の携帯電話番号・PHS・IP電話からはつながりません。
    ​・一部のプレイガイドにて枚数制限を設けている場合がございます。詳しくはお問い合わせ下さい。

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